2020年4月12日 復活節礼拝説教日本語訳

2020年 復活節礼拝   4月12日午前10時

* 題目 : 開かれた墓と閉ざされた門

* 聖書:ヨハネによる福音書 20章 1-2節, 19節

  1. 週の初めの日、朝早く、まだ暗いうちに、マグダラのマリアは墓に行った。そして、墓から石が取りのけてあるのを見た。2. そこで、シモンペトロのところへ、また、イエスが愛しておられたもう一人の弟子のところへ走って行って彼らに告げた。「主が墓から取り去られました。どこに置かれているのか、わたしたちには分かりません。」 19. その日、すなわち週の初めの日の夕方、弟子たちはユダヤ人を恐れて、自分たちのいる家のに鍵をかけていた。そこへ、イエスがん中に立ち、「あなたがたに平和があるように」と言われた。

<説教>

イエス様が復活されました!

私たちは、この喜ばしいイースター礼拝を礼拝堂で共に捧げられずにいます。「新型コロナウイルス」の伝染病によって、全世界と日本も深刻な状態まで拡大しました。そして去る7日、日本政府は、「緊急事態宣言」を発令しました。私たちが住んでいる大阪地域も含まれています。なるべく外出を控え、自粛するのが必要な時期です。堂会は、礼拝堂に信徒が集まって、礼拝を捧げることが非常に危険であることと、感染の拡散を防止する点で、信徒たちの貴重な生命を守り、他人も助けることになると判断したので、礼拝堂の礼拝を捧げることが出来なくなりました。

幸いなことに、この時間Social Network Service(ソーシャルネットワークサービス)を使用して、礼拝をご覧の信徒たちがおられます。

英語で「礼拝」を「worship」と言います。神を礼拝する、何を崇拝する、信仰を持つ、何かを敬うという意味。もう一つは、「主日礼拝」は「Sunday church service(サンデーチャーチサービス)」と言われます。よく私たちは、「サービス」といえば、人のために何かをすることを指します。

今日、私たちは主の前でサービス、礼拝を捧げていますが、信徒たちは、「Network Service

ネットワークサービス」で捧げておられるのです。「ユーチューブ」を見ながら、礼拝を捧げている信徒の皆様、よく見えますか?では、挨拶をしてみましょう!「イエス様が蘇られました!」

今日、2020年復活節のメッセージの題目は「開かれた墓と閉ざされた門」です。

十字架にかけられ、死なれたイエス様が、3日後に蘇られました。イエス様の十字架の死は、弟子たちに大きな衝撃を与えました。弟子たちは、3年の間、イエス様のそばにいながら、メシアであるイエス様と一緒にいました。自分の思いのまま、夢見ていたイエス様の王国の到来の実現は、水の泡になってしまいました。夢の実現どころか、自分たちの命に脅威を感じながら、不安に怯える立場になってしまったのです。

当時の状況を考えてみましょう!あれだけ慕って愛していた師であるイエス様が、大祭司によって告発を受け、総督の前に引き連れて行かれ、最終的には、十字架の刑を受けました。十字架の執行は、安息日を前にしていたので、早く進みました。十字架で死なれたイエス様の遺体をどこに納めるか、その墓さえも準備できていない状態でした。 「アリマタヤのヨセフ」は公会(Council)のメンバーでした。公会は、ユダヤ人の最高法院である「サンヘドリン」を指します。公会のメンバーは通常70人だったそうです。最高の議長は大祭司で、公会のメンバーは祭司長、長老、律法学者たちでした。公会は、法的、宗教的なことを議論して、民の宗教的な生活と日常生活についての裁判をしました。

「アリマタヤのヨセフ」は、イエス様に静かに訪れては、話も聞き、尊敬し、メシアだと信じている人でした。ローマの総督ピラトに、イエス様の遺体を渡してくれるように願い出ました。総督の許しを得たアリマタヤのヨセフは、自分と家族のために用意してあった新しい墓に、イエス様の遺体を納めました。そして、マリアと何人かの婦人たちが共に来て、その墓を確認しました。

4つの福音書を全体的に、イエス様の復活について見てみると、安息日が終わって、週の初めの日、明け方早く、マグダラのマリアと婦人たちが墓に行ったとき、墓の入口を防いでおいた大きな石が転がされ、開かれていました。墓の中に、イエス様の遺体がありませんでした。マタイによる福音書には、イエス様は復活されたと主の天使が婦人たちに言いました。

マルコ16章 5.墓の中に入ると、白い長い衣を着た若者が右手に座っているのが見えたので、婦人たちはひどく驚いた。6. 若者は言った。「驚くことはない。あなたがたは十字架につけられたナザレのイエスをしているが、あの方は復活なさって、ここにはおられない。なさい。お納めした場所である。」

墓に行った婦人たちがどれほど驚いたことでしょう。弟子たちがいるところに走って行きました。イエス様が

復活されたと伝えに行きました。

ルカによる福音書24章 9.そして、墓からって、十一人とほかの人皆に一部始終を知らせた。10.それは、マグダラのマリア、ヨハナ、ヤコブの母マリア、そして一にいた他の婦人たちであった。婦人たちはこれらのことを使徒たちに話したが、11. 使徒たちは、この話がたわ言のように思われたので、婦人たちを信じなかった。12. しかし、ペトロは立ち上がって墓へ走り、身をかがめて中をのぞくと、麻布しかなかったので、この出事に驚きながら家にった。と記録されています。

弟子たちの態度を見てください!婦人たちの話をたわ言のようだと思いました。イエス様の復活のニュースが伝えられましたが、弟子たちは、複雑な気分になりました。何かが起きそうに感じながらも、整理がついていなかった彼らの心の中には、不安と恐れが漂っていました。彼らが集まった所の戸を閉め、その戸に鍵をかけていました。

今日の本文、ヨハネによる福音書20章19節、安息日が終わって、週の初めの日の夕方、「弟子たちはユダヤ人を恐れ、自分たちがいる家の戸に鍵をかけていた」と記録しています。「ユダヤ人を恐れて戸に鍵をかけていた」のです。イエス様と一緒にいた彼らが、どんな目に遭うのか、どんな被害が来るかわからない不安がありました。ここで「ユダヤ人」という表現は、当時のユダヤ教の指導者、イエス様に対して敵対的な考えを持っているファリサイ人、律法学者たちという意味を持っています。軍隊を率いて植民地を統治していたローマの総督より、大祭司とファリサイ人たちがもっと怖かったはずです。ドアを閉めておくのは、家と外の社会や世界との断絶を意味します。弟子たちは、ドアを閉め、鍵をかけておくのが、自分たちを見守る方法だと考えていたでしょう。

ジュゼッペ・コンテ(Giuseppe Conte)イタリア總理は、「欧州連合(EU)が新型コロナウイルス感染症(コロナ19)の共同対応に失敗した場合、欧州のナショナリズムが広がるだろう。」と警告しました。ナショナリズムは、自分の国だけを考えて、他の国や民族を排斥する極端な態度や傾向を指します。

これらの世界的な問題が起きてから、結局人々はどのような行動を取るでしょうか!

国が戸を閉ざします。国と国との間の国境を封鎖します。他の国の人たちが来るのを拒みます。来させません!今回我々は、これをはっきり見たし、経験しているのです!自分の国民を保護する政府や行政がすべきことは、このように戸を閉めることが最善の方法であるでしょう。私たちが住んでいる日本も中国もアメリカも、そして最後に、韓国も戸を閉めてしまいました。そして今日、この時間、私たちはどうですか?私たちも戸を閉め、鍵をかけているのです。

時代は流行語を作ります! 「新種言語」とも呼ばれます。

2020年は「新型コロナウイルス」という言葉が、最も流行った言葉になると思います!

そして、一緒に作られた言葉がもう一つあります。 「コロナウイルス・ブルー」です。他の言葉で「コロナ・トラウマ」とも呼ばれます。コロナウイルス感染症の世界的な拡散に従って、社会的活動が萎縮してしまいます。感染の恐れが高まり、ストレスと不安から来るうつ病を「コロナ・トラウマ」、「コロナ・ブルー」と呼ぶのです。「今、世界に死んだ人がどのくらいかな」、「私がかかったら、どうしよう!」と心配するようになります。心配と恐れで、感染症発生のニュースばかり見るようになります。また、疑い深くなり、周りの人を警戒するようになり、外部活動が減り、無気力を感じます。これを感染病・ストレスと言います。新型コロナウイルスが拡散され、全世界を不安と恐れに陥れる新しい病気です。

コロナ・ブルーの代表的な症状は、頭痛・消化不良・めまい・動悸・不眠症です。不安ですぐ驚いたり、

怒りぽっくなり、頻繁に癇癪を出し、記憶力と集中力が減退し、精神がぼんやりして混乱し、涙が出、何もしたくなくなり、元気がなく、無気力に陥るということです。この無気力と不安と恐れが戸を閉めさせ、外の世界との関係も切ってしまうのです。

愛する信徒の皆さん、イエス様は復活され、墓の石を転がせ、戸を開けて出てきました。

しかし、弟子たちはどのようにしていますか?戸を閉めてあるのです。復活は死んでいくのを、開けて生かすことです。復活は落胆し、絶望している人たちに希望をもたらすことです。最後にもう一回、このみことばだけで考えてみましょう!なぜイエス様は偉大な方だと言われるのでしょうか。弟子たちが戸を閉めているところに行きました。不安と恐れにとらわれていた弟子たちに、「平安せよ!」と言い、お励まし、癒やして下さったのです。

墓の入り口が開いたように、弟子たちがいるところに平和が宣言されたイースターです。

コロナウイルスが原因で切れてしまった関係、閉じられた心が開くことを主のみ名によって祈ります。

一日も早くこの死の戸を開け、出て来て、復活したイエスを讃美することを願います!

イエス様が復活されました!

<祈り>

死を勝ち抜き、復活されたイエス様、今日、私たちは心も生活も戸を閉めてから生きざるを得ないのです。願わくは、この戸を、障害の戸を開け、無知の心の戸を開き、憎しみの戸を開け、愛へと出て来るようにさせて下さい。死んだラザロの墓の前で立って、叫ばれたその大声を、私たちにも聞かせてください!

ラザロよ、出てきなさい!と言われたみ声が全世界に聞かれますようにさせて下さい。

復活された主イエス・キリストのみ名によって、お祈りいたします。アーメン。