2021.1.1新年礼拝<感謝の100年、新しい希望への出発点>鄭然元牧師

大阪教会 新年礼拝 <2021年 1月1日> 

説教 鄭然元牧師 / 通訳 金光成長老

* 題目 :感謝の100年、新しい希望への出発点

* 聖書 :レビ記25章8節-12節

<日/新共同訳>

8.あなたは安息の年を七回、すなわち七年を七度数えなさい。七を七倍した年は四十九年である。9.その年の第七の月の十日の贖罪日に、雄羊の角笛を鳴り響かせる。あなたたちは国中に角笛を吹き鳴らして、10.この五十年目の年を聖別し、全住民に解放の宣言をする。それが、ヨベルの年である。あなたたちはおのおのその先祖伝来の所有地に帰り、家族のもとに帰る。11.五十年目はあなたたちのヨベルの年である。種蒔くことも、休閑中の畑に生じた穀物を収穫することも、手入れせずにおいたぶどう畑の実を集めることもしてはならない。12.この年は聖なるヨベルの年だからである。あなたたちは野に生じたものを食物とする。

<説教>

2021年新年元旦、皆様に新年の挨拶を申し上げます。

セヘ ポク マニ バドセヨ!<明けましておめでとうございます!>

送旧迎新礼拝のときにもお話しましたが、2020年は「コロナウイルス感染病」であまりにも大変だった一年でした。今年は、この苦しみが消え回復できる年になることを祈願します。新年になると、人々は新たな決心をします。昨年より良い年になってほしいという願望で心を新たにします。

本を作るとき、本の題目が重要だと感じます。10年以上前に刊行された本です。以前も、新年の初日にこの本を紹介したことがあります。今年も説教準備をしている最中、この本の題目が浮かびました。「今年を最高の年にする方法」という本です。著者「トッド・テンプル」は、社会経済学を勉強した方で、青少年たちのための執筆活動を熱心にしながら、日常生活の中でクリスチャンらしく生きるための提言を多くしてきた方です。

この本の題目のように、私たちは「今年を人生最高の年にしたい」と思います。今回再度読むと、本は最高にするための52の方法を提案していました。最高の年にすることが、一日では成らないことを説明しています。一年52週があり、よく見ると、52の方法を全部使わなければならないことも興味深かったです。願わくは信徒の皆さんにとって、2021年が、人生の最高の年になりますよう願います。

今年2021年は私たち大阪教会にとっても最高の年にならなければなりません。

主の恵みで教会創立100周年を迎えるからです。日本に留学に来た神学生1人と家族の生活のために大阪に渡ってきた若い二人の少女の祈りが、私たちの教会の出発点でした。人々は100年という歳月は長い時間が経ったと思い、その意味を付与することができるでしょう。だから、私たちは、100年を「一世紀(century)」と言います。どの団体でも100年になると、大規模な祝賀行事や意味のあることを計画し、実施します。もちろん、教会は主の恵みに感謝し、礼拝をささげ、多様な行事を開催できます。しかし、このような行事も非常に大切ですが、今日は100周年を迎える初日の朝、主のみことばから、その意味を考えてみたいと思います。

聖書で、百年という概念に意味を置いて使われている言葉はありません。しかし、その半分の50年はとても重要に扱いますが、その内容が、今日読んだ聖書のみことばです。イスラエルの民が出エジプトをし、カナンの地に入る前に、神はこのみことばを与えられました。安息の年とヨベルの年に関して話されました。今日のキリスト教の主日とユダヤ教の安息日は少し異なる概念を持っています。

神はアブラハムを呼び神の民とし、モーセを通してイスラエルの民族を一つにならせ、カナンに移住させました。この荒野で安息日の規定を話されました。神の日、聖なる安息は、人々と動物たちも休息を取り、神を礼拝する日と定めたのです。ヨベルの年は、単なる休みの年ではなく、49回目の安息の年の贖罪日に、「角笛(つのぶえ)の音を吹き鳴らして、この五十年目の年を聖別し全国民に解放の宣言をする。それがヨベルの年である」と教えて下さいました。この50年になる年を聖別し、その土地のすべての住民のために自由を宣言しなさいと話されました。

そして、生活の工面のため他人にお金を借りるとき、担保に土地や人を奴隷にした場合でも、ヨベルの年になると、元の所有者に返すようにしました。それだけではありません。自然界との関係でも、このヨベルの年は、意味があります。耕作する土地にも種を蒔かずに休ませました。自然に実った葡萄さえも収穫しないようにしたのです。しかし、人は食べて生きなければならないので、畑からの産物は、食べて良いとしたのです。

今日の経済観念では考えられないことを神は指示しました。新年初日から少し難しい話をしているようですが、信徒の皆さん、私たちは、みことばが持っている深い意味を探るべきです。民族共同体であれ、信仰共同体であれ、経済活動はどのような人間社会でも起きることです。少しでも多くの収穫を楽しみにして農業に精を出します。職場生活でも苦労した分の代償を欲するのが当然ではないでしょうか。経済活動で起こる債務と返済は、最も基本的なことです。他人にお金を借りたら返すべきです。

状況が困難になり返済できないまま歳月が流れて、ヨベルの年になった場合でも主は元に戻しなさいと言われました。現代の経営構造で可能なことだと思いますか。不可能です。しかし、神は、民族と信仰共同体であるユダヤ人にこれを実践しなさいと命じたのです。律法とし、必ず守るようにと強調されました。神の計算法は、いつも私たちが考えられない方法であり、さらにそれを守るようにと指示されます。

イエス様も徹底的に主のみ旨を反映した教えを与えて下さいました。マタイ5章43節、あなたがたも聞いているとおり、『隣人を愛し、敵を憎め』と命じられている。44.しかし、わたしは言っておく。敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい。」あ!本当に私たちにとっては耐え難いことであります。しかし、このことを実行した方がイエス様です。ヨベルの年の大切なことは、私が中心ではないことです。他の人を先に考えることです。持っている人が先ではなく、持っていない人を先に配慮して生きる考えです。金持ちの考えが先ではなく、貧しくて苦しい人を配慮することです。

「今年を最高の年にする方法」という本で、著者「トッド・テンプル」は、伝統を継承することが一つの方法だと言っています。伝統を受け継ごう!このように言うと時代遅れの古い世代が主張するような感じも受けるでしょう。信徒の皆さん、考えてみてください。今日、私たち大阪敎会が存在するのは、神の恵みであり、私たちの信仰の先輩である祖母、祖父、父、母のおかげです。これに感謝して信仰の伝統を継承することが重要です。最近はそれを「次世代教育」「次世代と共感」などと表現しています。

新年、私たちの家庭が持つキリスト教的な伝統と韓民族、日本民族など私たちの周りには、既に多様な文化を持つ人々が存在しています。このようなすべてを包み込み、多様性が共有できるコミュニティにならなければいけません。人々が持っている民族の文化と伝統は、キリスト教の理解に非常に重要な要素です。私たちの家庭でも、キリスト教の信仰を子どもたちと子孫にも伝えなければならないです。教会の役割が福音伝道にあることは誰も否定できないでしょう。同様に、キリスト教の信仰の家庭が、次世代にこの信仰を伝えることは、あまりにも当然です。

映像礼拝に参加している皆さん、現代の生活は家族だからとみんなが集まって住む社会ではありません。しかし、皆さんが両親から離れて生活をしているとしても、あなたはキリスト教の家庭の子どもである、この事実をいつも心に抱いて生きて行きますよう祈願します。あなたの母、父は早朝に、時間ごとにあなたとあなたの子ども、孫たちのために涙で祈っておられることを忘れないでください。

新年は一年の出発点です。どのようなことであろうが感謝する心を持つときに、新たな希望が持てます。一世紀を送り、新たな世紀を迎えている私たち大阪教会と信徒の皆さん、私たち全員は、新しい希望へ向かう出発点に立っています。主が出発信号を打ちあげれば、最善を尽くして走っていきましょう!主が私たちを祝福してくださると信じます。

<祈祷>

2021年、新年を与えて下さった主よ、感謝します。新年いただいたみことばは、イスラエル民族共同体が信仰共同体として、共存しながら守るべきみことばでした。ヨベルの年を迎えた私たち大阪教会と全信徒が共に生きるこの世で、主のみ旨を成し遂げる信仰の共同体になれることを望みます。新年、新たな希望を持って私たちの子どもや子孫が一つになり、主のみ旨の中で出発できるようにさせてください。感謝しながら、主イエス・キリストのみ名によってお祈りいたします。アーメン