2020年10月11日主日<私たちの危機を知っていますか?>鄭然元牧師

大阪教会 主日礼拝 <2020年 10月11日> 五旬節後第19主日 

説教 鄭然元牧師 / 金光成長老

 * 題目 : 우리의 위기를 아는가 私たちの危機を知っていますか。

* 聖経: 사도행전 2739-44 使徒言語録2739-44  

<日/新共同>

39. 朝になって、どこの陸地であるか分からなかったが、砂浜のある入り江を見つけたので、できることなら、そこへ船をり入れようということになった。40. そこで、錨を切り離して海に捨て、同時に舵の綱を解き、風に船首の帆を上げて、砂浜に向かって進んだ。41. ところが、深みにまれた浅瀬にぶつかって船をり上げてしまい、船首がめりんで動かなくなり、船尾は激しい波でれだした。42. 兵士たちは、囚人たちが泳いで逃げないように、殺そうと計ったが、43. 百人隊長はパウロを助けたいと思ったので、この計を思いとどまらせた。そして、泳げる者がまず飛びんで陸に上がり、44. りの者は板切れや船の組員につかまって泳いで行くように命令した。このようにして、全員が無事に上陸した。

<説教>

信徒の皆さん、お元気でいらっしゃいましたか。

過ぎた8月16日の主日から映像で礼拝を捧げてきました。2カ月ぶりに再び信徒の皆さんと礼拝堂で集まって主に礼拝を捧げることができ、感謝します。健康の問題や個人的な事情により、YouTubeで礼拝を捧げている信徒たちにも主の恵みが共にありますよう祈願いたします。

2020年今年の初めから世界を覆っている「新型コロナウイルス」禍は全世界に危機をもたらしました。危機とは、あることが、その進行過程でいきなり悪化する状況や破局を迎えるほどの大きな節目を意味する言葉です。今回のコロナウイルス禍は昨年12月30日に発生した初の患者を皮切りに全世界に3700万人の患者を、2月7日の初の死亡者の後、107万人が亡くなりました。これらの人命被害は社会全般にわたって危機感をもたらせます。

人々の心に不安が広がります。家庭が崩壊します。経済活動が中断され、失業者が増加します。今まで円滑に回っていた会社が閉業になります。国家経営にも大きな被害を与えます。コロナウイルス禍が、世界に危機的状況をもたらしました。人は生きて行きながら多くの危機に遭遇します。このような危機の中で、どのような心を持って克服をするかは、誰もが考えることです。私たちの信徒の中でも、健康に困難があり、心に心配と不安を抱き、押し寄せる危機感を感じておられるでしょう。仕事やビジネスで危機的状況に遭い、苦労する方もいらっしゃいます。このような危機の中で、どうすればよいのか。心配してしまいます。

聖書は、人類が経験した多くの危機と個人的に遭う苦難の中で、その危機にどのように勝ち、生き延びたのかを教えてくれます。聖書の中で、人類にとって最大の危機が訪れたのは、創世記6章〜10章に記録された洪水事件です。この事件の始まりは、人間自らが神の審判を招いたとも言えるでしょう。神をかたどって造られた人間が(神のイメージに基づいて造られた)繁栄し始めました。彼らの心の中に罪が入ってきてから、常に悪いことばかりを心に思い計っているのを神がご覧になって、心を痛められました。(創6:7)しかし、ノアは主に好意を得た(創6:8)と記されました。主なる神の命令に従って、箱船を作りました。結局、「ノアと家族」は、40日間昼夜に降らせた雨で起きた洪水の中でも死の危機を克服できました。このように自然災害からも、主はご自分の意志を示してくださいます。人に危機感を持たせます。

主がモーセとイスラエルの民をエジプト王ファラオから脱出させました。民の旅路の間、雲の柱と火の柱が民の先頭から離れることはありませんでした。(出13:22)しかし、イスラエルの民に、しばらく危機がありました。それは出14章に記録された「紅海を渡る事件」です。イスラエルの民が逃亡したとの報告を受けたファラオは考えを一変させ、戦車に馬をつなぎ、後を追わせました。このとき、イスラエルの民の前に現れたのは紅海でした。背後にはエジプトの軍隊が襲いかかろうとし、前には紅海に阻まれています。

この瞬間、民はどのようにしましたか?出14章10-11節を見れば、イスラエルの民はひどく恐れました。そして指導者モーセに言います。 「我々を連れ出したのは、エジプトに墓がないからですか」。イスラエルの民にとっては、明らかに危機でした。しかし、皆さんもよくご存知の通り、主の方法で紅海を二つに分け、水の壁を作り、民は海の中の乾いた所を歩かせました。民の移動を止めるため追ってきたエジプトの軍が紅海に入った瞬間、水の壁が崩れて水が兵士たちを襲いました。その光景を見たイスラエルの民は危機から逃れたことを知りました。出15章でモーセとミリアムの賛美が出ます。モーセは「あなたが息を吹きかけると海は彼らを覆い、彼らは恐るべき水の中の鉛(なまり)のように沈んだ」と言いました。ミリアムは、「主は大いなる威光を現し、馬と乗り手を海に投げ込まれた。」と歌いました。そして危機から逃れたのを喜んで賛美しました。

今日の本文のみことばは、使徒パウロの宣教の歴史の中で、生命の脅威を感じる危機的な状況を記録しています。使徒パウロが3度目の宣教旅行を終え、エルサレムに戻りました。当時、エルサレムの指導者であったヤコブに会います。ヤコブはイエス様の弟で、エルサレム教会の指導者でした。ユダヤ教に熱心だったユダヤ人たちは、パウロがエルサレムに戻ってきたという知らせを聞きました。そして五旬節を守るために、アジア地域から来たユダヤ人たちと力を合わせました。この人たちは、パウロがアジア地域で、イエス様を伝え、神を冒涜したと証言しながらパウロを殺そうと捕まえました。

使徒21章から始まる使徒パウロの最後の話は、危機の連続でした。ユダヤ教の指導者たちは、「背教し、裏切り者であるパウロを殺そうと何度も殺害を企てました。さらに法廷に出るパウロを殺そうと暗殺計画を立てます。危機のたびに主は協力する人々を送って下さり、大きな危機を乗り越えさせられました。パウロはユダヤ教との宗教的な問題と指導者との人間関係によって生じた危機でした。結局、ユダヤ人の告訴によってローマ総督は、パウロを逮捕しました。その過程で、使徒パウロは、ローマ帝国の市民権を持っている自分の身分を明かします。ローマ市民権を持つ者を裁判にもかけず、ユダヤ教の人たちの話だけ聞いて鞭で打って良いのかと言いました。

ローマ総督の中には当時のユダヤ教の指導者たちにパウロを渡し、宗教裁判でことを片付けようとした総督もいました。後任の総督はパウロにお金をもらうなら保釈すると金品を要求しました。しかし、パウロは、頑として反対し、ローマに行って皇帝の裁判を受けると主張しました。逮捕されてから2年が経過した後、パウロはローマに行くためにイタリアに向かう船に乗りました。この時期は、季節的に見れば今頃だと思います。秋分を過ぎ冬が近づく時航海するのは非常に危険なことでした。しかし、船の所有者は、船を運航しなければお金を稼げないし、兵士たちは任務を遂行するために、船に乗るしかありませんでした。パウロも、他の囚人たちと一緒に船に乗り、航海をしていた途中でした。

「良い港(みなと)」と呼ばれる小さな港をから、「フェニクス」に向けて出発し二週間が過ぎたとき、台風に遭遇しました。この台風は、通常よりも大きな台風で暴風でした。(使徒27:14)船はそれに巻き込まれ、最終的に難破の危機に追い込まれました。今日のみことばの前後を通して私たちに与えてくださるメッセージは、この危機の中で主が一緒におられることを悟らせてくれます。暴風の危機を迎えたとき、人々がどのような態度を取ったのかを注意して見るようにしましょう。まず、船と関連する人々です。当時は船の主が一緒に乗りました。そして船を運航すべき船長と船員たちです。船については一番の専門家です。今日のように、科学が発達する前、遥か昔の話のように聞こえますが、ついこの間までこのような航海をしていました。彼らの熟練した経験と天気を予測し、船に載せた貨物と船に乗った人員の重量に基づいて航海の計画を立てます。

しかし、このような暴風に巻き込まれるのは予想外のことでした。船員たちの態度を見ると、海をよく知っている人なので、危機的な状況に上手に対処します。しかし、残念ながら、自分たちだけ生きようとして、密かに小舟を降ろし、船から逃げ出そうとしました。それを見た囚人の護送責任者である百人隊長が船員を殺そうとしました。どれだけ腹が立ったでしょう。船員たちが先に逃げ出してしまうと船はだれが動かしますか。自分たちも生き残らないといけないのに。

この姿を見たパウロが百人隊長に言います。彼らを流すように勧めます。船を軽くさせる必要があり、向こうの海岸まで、私たちが生き延びるためには食べる必要があると言います。事態がここまでになると、囚人たちも生きようとして海に飛び込もうとしました。しかし、今回は囚人を護衛していた兵士たちが囚人を殺そうとしました。これを見ていた百人隊長ユリウスはパウロまで殺されそうだと思いました。素早く命令を出します。殺さずに泳げる人がまず飛び込んで陸に上がり、残りの者は板切れでもつかまって泳いでいくように許可しました。彼らは「マルタ」と呼ばれる島に到着し、危機の中から救われました。私たちが、すでによく知っているように、使徒パウロは、マルタで3ヶ月間滞在し、伝道しました。アレクサンドリアの船がマルタに来て、一行は出航し、ローマまで行くようになりました。

私たちの記憶の中に、船の航海中に起きた大規模な事故や衝撃的な遭難事故があります。1912年4月10日、英国サウサンプトン港を出発し、米国ニューヨークに向かっていたタイタニック号(RMS Titanic)は、当時世界最大の船の一つでした。出港5日目、北極で流れてきた氷山と衝突し、沈没しました。出港時に船に乗った人の数は2,223人でした。救助された人は706人のみで、1514人の命を奪った、世界最大の船舶事故でした。

韓国で起きた忘れ難い事故があります。今から6年前、仁川港を出発し、済州へ向かっていた「歳月(セウォル)号」が2014年4月16日午前8時50分頃に全羅(チョンラ)南道(ナムド)珍(チン)島(ド)付近で沈没した事故です。乗船人員476人、死亡者304人の韓国で起きた最大の船舶事故の一つです。この事件の事情を明らかにしていく中で、国民に最も大きく衝撃を与えたのは、歳月(セウォル)号の航海の責任者である船長の行動でした。自分だけ生き延びようとし、若い学生たちは動かないように放送をしておいて、自分は船から逃げ出したことが分かりました。船舶の最高責任者として危機管理を誤ったのです。

人々はこのように、個人でも集団でも国家でも、世界的な危機に襲われる時があります。個人的には絶体絶命の危機というのに襲われるときがあります。危機は予定したものではありません。いつ、どこで、どのような形で遭遇するかわかりません。危機は突然襲って来ます。貧しい人にも、富がある人にも来ます、名誉と権力のある人にも、老若男女を問わず誰にでも来ます。危機とは、過去の問題ではありません。今日の問題であり、将来の問題です。危機は留まっているものではなく、生きている物体のように常に動きます。それも、明日、未来に向かって動きます。それで、危機というのは私たちの心の中に絶望を忍ばせるウイルスのようなものです。

今日、私たちがコロナウイルス禍で不安と恐怖心により危機感を抱くのは当然のことです。しかし、私たちは、今、この時間、考えなければならない重要なことがあります。この危機の中で、霊的な危機感をどれほど感じながら生きているのか。どんな姿勢で信仰生活をしているのか?その質問を自分に投げかけることです。使徒パウロは、この暴風の危機の中で、聞こえてきた主のみことばに注目しました。

 24. こう言われました。『パウロ、恐れるな。あなたは皇帝の前に出頭しなければならない。神は、一に航海しているすべての者を、あなたに任せてくださったのだ。』 25. ですから、皆さん、元を出しなさい。わたしは神を信じています。わたしに告げられたことは、そのとおりになります。

愛する信徒の皆さん、私たちは主のみことばだけを信じ、生きて行く人々です。使徒パウロは暴風の中、船は揺れ、船員たちは逃げ出し、船をどうすればいいかわからないとき。押し寄せてくる恐れと恐怖、この危機の中、聞こえてきた主のみことばを信じました。「主があなたと一緒に、私たちと一緒に航海している。」

このみことばに全てを委ねたのです。

皆さん、安心して下さい。私たちにみことばを与えてくださった主に任せ、主のみ旨通りになることを信じてください。このメッセージを危機的状況の中、不安と恐怖で怯えている私たちと全世界の人々に与えて下さいます。今が世の終わりではないと、イエス様のみことばを覚えながら、危機を克服し勝利するクリスチャンになりましょう。

<祈祷>

危機の中でも私たちと一緒におられ、救いを与えて下さる主よ、感謝します。今日、大阪教会の信徒たちが礼拝堂に集い、主を讃美し、祈り、説教を分かち合うことができ、感謝します。今日与えられたみことばを支えとし、今の危機的状況を耐え抜くように導いてください。主イエス・キリストのみ名によってお祈りいたします。アーメン